国内旅行における交通手段の変化と観光地の競争力

 平成29年版の観光白書では第1章の「国内観光地を取り巻く環境変化」で
交通手段の変化について言及しています。
本稿では近年の交通手段の変化が観光地の競争力及ぼす影響について考察します。

 近年の旅行における交通手段として列車の利用が増加しています。
2000年代までは自家用車の利用が50%を超えていましたが、
2015年の調査では40%を下回っています。
 一方、列車の利用割合は目的地までの移動、
目的地での移動とも2015年には25%を上回りました。
 列車利用が多くなった背景には20~30代の若年層の車離れががあると考えられ、
その傾向は長期的に続くであろうと想定されます。

列車利用が増加したもう一つの要因として、整備新幹線の開業が考えられ、
以下のような変化がみられました。
(1)2002年12月開業の東北新幹線により八戸三社大祭の入込客数が大幅に増加し、
2005年以降は100万人以上で推移している。
(2)2011年3月開業の九州新幹線により地域の宿泊者数が10%~30%増加した。
(3)2015年に開業した北陸新幹線により金沢を含む地域の宿泊者数が10%~30%増加した。

また、LCCの就航増加が旅行需要や旅行回数に変化をもたらしました。
(1)同じ行先でもLCCを選択するようになった。
(2)LCCの就航がきっかけで国内旅行をした。
(3)旅行回数が全体的に増えた。

 上記の新幹線利用のようにコストがかかっても
利便性を優先させる観光客が存在することがうかがえます。
一方で、利便性は優先させたいがLCCの利用でコストを少しでもセーブしたい
と言うニーズも存在することがうかがえます。

このように観光地の利便性が競争力に大きな影響を与えることが見て取れます。
私たちは、「観光地競争力データ2016」を企画・開発し、
このような競争力を「TCMコスト」として可視化しました。
TCMコスト(円)は「運賃+移動時間×居住地域の最低賃金時間額」で表します。
一般的に、TCMコストが低い方が
「行きやすい=立地ポテンシャルが高い=競争力が高い」と言うことになります。

自地域の立地ポテンシャルを客観的に把握することが競争力強化の第一歩となります。